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院長ブログ

加齢による膣の乾燥や違和感、萎縮性膣炎の症状、原因、治療法を女医が丁寧に解説。

私の25年という産婦人科医としての歩みの中で、たかき医院のように地域の方と密に触れ合う小さな規模の診療現場に身を置くようになって、初めて出会った、女性の悩みがあります。

女性のとてもデリケートな部分の悩み、、、
たいていの方は誰にも相談できず、長い間一人で悩み、そして勇気を出して相談をしにこられます。

でも、それが「老人性膣炎」

どうしてこんなに失礼な名前なのだろう!!
と、知った時には驚きを隠せませんでした。でもご安心ください、

今は「萎縮性膣炎」と呼ばれることが多いです。

この「萎縮性膣炎」は、閉経年齢近くの40歳すぎから年数が過ぎればすぎるほど、症状を訴える人は多くなっていきます。「藁をもすがる気持ちで来ました。」と皆さんは沈痛な面持ちで相談してきます。

それもそのはず!
患者様の訴えと裏腹に、診察しても一見デリケートゾーンには異常を見つけにくく、「年齢のせいですから仕方ないですね」で他の病院では何もしてくれなかった、「親身になって相談に載ってもらえなかった」ということが多いのです。

年齢のせい、、、そうかもしれないですが、「萎縮性膣炎」の方の悩みはとてもとても深いのです。

そして、私と「萎縮性膣炎」の患者様の出会いは比較的遅かったですが、よくよく女性の皆さんに聞いたところ、珍しい悩みではないのです。

では、「萎縮性膣炎」とはどんな人に起こりやすいのか、どんな症状が出るのか、どうして起こるのか、ならないためにはどうしたら良いのか、なってしまったら治療にはどんなものがあるのか、などを詳しく説明していきましょう。

加齢とともに現れる膣の違和感「萎縮性膣炎」とは?

女性は月経が始まる年齢を迎えると、徐々に体の中の女性ホルモン(エストロゲン・卵胞ホルモン)の分泌が盛んになり、それは35歳でピークを迎えるといわれています。その後少しずつ年齢を重ねれば重ねるほど女性ホルモンの分泌が減り、若い時には無かった様々な身体の変化が出てくるようになります。

更年期症状の「萎縮性膣炎」

閉経前後から出てくる変化の一つに「萎縮性膣炎」があります。
そもそも「更年期症状」という言葉は皆さんけっこう知っているのに、「萎縮性膣炎」は圧倒的に知らない人が多いですよね。でも、萎縮性膣炎は更年期症状の一つなのです。

2021年に行った日本女子大学の研究において、日本では更年期症状によって雇用や収入に影響があった女性は15%もいるのだそうです。これは40~50代で働く女性の75万人に当たります。ということは、萎縮性膣炎に悩む更年期世代以降の人たちもかなりの人数がいることが予想されます。

40~50代になって友達同士で、あるいは職場の女性同士の同僚で「まだ夫婦生活があるかどうか」ということが話題にのぼることがあります。「ないない」とか「あるけど全然若い時みたいに濡れない」とか、そんな答えをよく耳にしますが・・・

この話題はこの辺にして、「ないない」の人も「全然濡れない」の人も、「良かったー、私だけじゃない。」とホッとするのではなく、すでに「萎縮性膣炎」に足を突っ込んでいるからケアを始めないとピンチですよ、と思ってほしいのです!!

萎縮性腟炎の症状

多くの方は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下した50歳以上の女性で、数か月前から「今までなかった黄色い帯下(おりもの)がおりる」「なんだかにおいが気になる」「少ない量の出血が時々出る」「膣や外陰部の違和感やひりひり感やかゆみ・痛みが気になる、何をしても治らない」という症状でご相談に来ることが多いですね。

数か月前から、という、すぐに相談に行けなかったくだりが、日本人のある意味奥ゆかしさを感じます。また、高齢者の福祉施設にお住まいの80歳以上の女性で、「おむつに血が付く」という症状で施設の職員の方が気づいて、相談に来られる方もいらっしゃいます。中には、見た目には大きな異常はないのに、デリケートゾーンに触れると痛くて飛び上がるなどの方もいて、ここまで来ると本当にかわいそうです。

とういうことで、「萎縮性膣炎」の症状をまとめてみました。

乾燥感、かゆみ

若々しい=ぴちぴち、つやつやしている、と思っている方は多いと思いますが、女性ホルモンが減ると、膣粘膜や外陰部の皮膚のコラーゲンが減り、水分を保持する力が弱まります。

そのため、乾燥が起こります。乾燥が続くと表面のバリア機能が落ちてしまうために、刺激に敏感になりかゆみに繋がります。かゆみのある部分をかき壊し続けると、皮膚が見た目にも変化を起こしてしまいます。

つまり、症状が出てから日にちが浅い場合には、外陰部の皮膚の見た目の異常は見えにくいのですが、症状が出てから数年経ってしまうと、皮膚が白く厚みをもって硬くなったり皮膚がひび割れなどを起こすようになります(外陰萎縮症、外陰白斑症、硬化性萎縮性苔癬)。

性交痛

膣の入り口の粘膜や外陰部の皮膚に乾燥が生じると、バリア機能が落ち外からの刺激に弱くなってしまうため、性交時の摩擦が痛みや出血として現れるようになります。

性交時に痛みが強いと痛みの方ばかりが気になってしまい、性行為を楽しむ気持ちが無くなってしまいます。快感よりも痛みばかりになってしまえば、性行為を拒否してしまうようになるため、パートナーの方との間に距離が出来てしまいかねません。

もしもパートナーの女性が性交痛で悩んでいるようでしたら、無理に挿入しようとしないで違った形でふれあいを楽しんだり、悩みをきいてあげることや潤滑剤を使うこと、あるいは一緒に婦人科受診をして相談してみよう、などとすすめていただくと、女性としてはすごく嬉しいと思います!

症状が進むと下着・おりものシート・尿取りパッドなどが外陰部に触れているだけで痛みやひりひり感が生じるようになって、精神的にイライラが募ったりと、日常生活にまで支障をきたしてしまうこともあるのですから。

頻尿、尿失禁(尿もれ)

女性ホルモンの分泌が減ると、膣入口部だけでなく周囲にある尿の出口である尿道口の粘膜も乾燥や萎縮が起こります。粘膜の乾燥や萎縮は皮膚と同様に外からの刺激に弱くなってしまうため、常に違和感を感ずることで頻尿になります。

女性ホルモンの分泌が減ると膣内を正常に保つ菌が減ってしまい、外からの雑菌の繁殖が抑えられなくなり、膣内の炎症(細菌性膣炎)だけでなく膀胱炎を繰り返す原因にもなります。

また、膣粘膜の萎縮が起こると、膀胱壁や尿道の伸縮性が落ちるためにたるみが生じ、性器脱(子宮や膀胱や直腸が下がる)を引き起こします。臓器が正常な位置に保たれないと、急な尿意を我慢できずに尿もれが生じます。

出血

膣粘膜のコラーゲンが減り粘膜自体が薄くなるため、粘膜がただれやすい状況となるため血管が露出しやすくなり出血が起こります。

おりものの変化

膣内を悪い細菌から守るための良い菌(膣内常在菌)が少なくなってしまうため、悪い細菌が膣の中に入りやすくなり、黄色みの強いおりものが増えたり、においの原因になったりします。

膣内に悪い雑菌が増えてしまった状態を「細菌性膣症」、その結果として炎症が起きてしまっている状態を「細菌性膣炎」といいます。悪い細菌が性感染症の菌だった、ということになると「萎縮性膣炎」の治療だけでなく、さらに性感染症の治療も行わなくてはならなくなってしまいますので大変です。

デリケートゾーンの不快感を放置していませんか?

でも、、、実は「萎縮性膣炎」について知識がないから、あるいは「そんなもの年齢がいけば仕方がないんじゃない?」と分かっているのに放っている人が多いのが「萎縮性膣炎」なのかな、と思います。

なぜなら、海外のデータではありますが、「萎縮性膣炎」は60代になれば約半数の人が何かしらの症状を持っていることが分かっているからです。

20~30代の若い女性が発症することも

実は「萎縮性膣炎」50~60代の年齢の女性だけではなく、20~30代の女性にも起こることがあります。

例えば、

①月経不順の人
②低用量ピルを使用している人
③出産後、授乳のために長期間月経が来ていない人
④がんの治療で卵巣を摘出した人、

などです。
これらの人は、女性ホルモンの分泌が少ないため、若くても「萎縮性膣炎」を生じる場合があります。20~30代の若い人の「萎縮性膣炎」は、乾燥感がある、黄色味の強いおりものが出る、おりものが匂う、性交痛がある、などの症状が多いです。

若いのになぜ発症するの?

原因は女性ホルモンの分泌が少ないために膣の中を守る良い膣内常在菌が少なくなってしまい悪い菌が増えてしまう、膣粘膜が薄くなる、と、50歳以上の女性の「萎縮性膣炎」と同じです。

20~30代の若い方は、他の婦人科的な相談に来たついでにコソッと「そういえば、全然今日の相談とは関係ないですけど、、、」と言って性交痛の悩みをお話されることが多いですが、婦人科医はデリケートゾーンの専門医!

そういうことこそ相談してほしいと思っていますので、気軽に声をかけてほしいですね。

萎縮性膣炎の原因・メカニズム

「萎縮性膣炎」が起こるまでの流れはこんな感じです。

1.35歳を過ぎると女性ホルモンの分泌が減る
2.膣粘膜や外陰部の皮膚のコラーゲンが減り粘膜や皮膚の厚さが薄くなる
3.膣粘膜や皮膚のバリア機能が低下して膣内常在菌が少なくなり雑菌が繁殖しやすくなる、性交などの摩擦刺激で出血しやすくなる
4.膣粘膜に炎症が起こり、黄色味の強いおりものが出る、においを生じる。外陰部の皮膚に炎症が起こり、かゆみや痛みが出る。

下着を脱いで診察台に上がってもらい診察することを内診といいますが、症状の訴えが無くても診察を行ってみると、50歳以上の方、あるいは月経困難症で月経を止めている偽閉経療法を行っている40代以上のほとんどの方が、程度の違いはありますが「萎縮性膣炎」になっています。

「日常生活では何も困っていないから、、、」とご自分が萎縮性膣炎になっていることに気づいていない方が多いようです。

萎縮性膣炎の診断と検査

婦人科での検査方法

1.問診

月経の有無、状態(規則的・不規則)、閉経から何年経っているか、をお聞きします。

2.内診

内診台で外陰部や尿道口の皮膚や粘膜の状態を観察させていただきます。次にクスコという器械を使い、膣粘膜の状態やおりものの性状を目で確認いたします。

出血やおりもの異常がある場合

出血やおりもの異常は子宮頚がん子宮体がん、あるいは卵巣がんや卵管がんなどの症状でもあるため、超音波検査や細胞診などの検査を追加して、がんによる症状ではないことを確認します。

臭いがある場合

においのある場合は膣内に悪い菌の繁殖がないかを、おりものを培養の検査に出して調べます。

痛みへの配慮

症状のある方は診察での痛みを心配されるかもしれませんが、そこは細心の注意を払ってそっと診察しますので、ご心配なく!

診断のポイント

・パッと見て大陰唇がたるんでいないか?
・外陰部の皮膚が薄くなっていないか?
・皮膚の乾燥が進んでひび割れまで生じていないか?
・赤く荒れた様子がないか?
・長期間掻き壊したことで皮膚が白く厚くなっていないか?

等をみます。
たくさんの方の診察をさせていただいていると、やっぱりデリケートゾーンは顔以上に年齢が現れる部分だな~、と感じます。また、膣の粘膜については、超音波やがん検診などを行ってがんが否定され、おりものの検査で性感染症が否定された場合、膣粘膜が薄くなっている様子、膣壁の赤くただれた感じや点状の出血の有無、おりものの性状などをみて診断します。

萎縮性膣炎の治療

治療の実際と各治療のメリット・デメリットをご紹介します。

1.ホルモン補充療法

加齢により女性ホルモンの分泌が減少していることで生じている症状ですので、少量の女性ホルモンを内服薬やパッチなどで全身に補充することで症状を緩和する治療法があります。

また、体の中で女性ホルモンに似た働きをするエクオールという物質をサプリでとる(エクオールのサプリで更年期症状に対してエビデンスがしっかり出ている製品は、大塚製薬さんの「エクエル」しかありませんので、ご注意ください!)方法もあります。

メリット

「萎縮性膣炎」だけでなく、ホットフラッシュや肩こりや不眠などの更年期症状にも効果があります。使用を始めて早い方だと1カ月で体調が上向くことを感じます。

デメリット

エストロゲン関連腫瘍(子宮体がん、乳がんなどのがんを始め、子宮筋腫や子宮内膜症などの良性疾患)を持っている方・治療中の方、血栓症の既往のある方は、病気の悪化を生じる可能性があるため使用できません。

「ソイチェック」してみませんか?

大豆を摂取して自分自身でエクオールを作れる体質なのかどうかを検査するキット(すでに40万人の方が利用した実績のある大塚製薬さんの「ソイチェック」)や、医療機関でしか販売していない大塚製薬さんの「エクエルプチ」もたかき医院にございますので、いつでもお声掛けください!

2.局所エストロゲン療法

外陰部にエストロゲン入りの軟膏を塗布する、膣内にエストロゲンの膣坐剤を挿入する、などで局所的に女性ホルモンを補充する治療法です。

メリット

膣坐剤に関しては全身的なホルモン剤の影響(エストロゲン関連腫瘍の出現や悪化など)が出にくいといわれています。膣坐剤を1週間続けていただくと、かなり症状が改善されていることが多いです。

デメリット

エストロゲン入りの軟膏を塗布は、皮膚からの吸収で全身にエストロゲンがいきわたる可能性もあるため、エストロゲン関連腫瘍(子宮体がん、乳がんなどのがんを始め、子宮筋腫や子宮内膜症などの良性疾患)を持っている方・治療中の方、血栓症の既往のある方は、病気の悪化を生じる可能性があるため使用はできません。膣坐剤は手の指1関節分くらい膣の中に挿入できれば十分ではありますが、膣坐剤の使用はタンポンの使用をしたことが無い人には難しいですし、膣の入り口付近に痛みの強い人にはかえってつらいことがありますので、うまく出来なさそうであれば他の治療法を勧めてもらうのが良いと思います。

3.ステロイド入りの軟膏

外陰部の症状が強い場合には、ステロイド入りの軟膏を処方して使っていただくのが一般的です。

メリット

ステロイドは強い抗炎症作用があるため、塗布すると症状の改善を劇的に感じることが多いです。

デメリット

短期間で使用する場合には良いですが、長期間使用する場合には注意が必要です。ステロイドは長期に使用すると皮膚が薄くなったり乾燥感が強くなったりしますので、手放せなくなってしまうリスクがあります。乾燥感をやわらげるためには保湿剤を必ず一緒に使用した方が良いと思います。

4.潤滑剤、保湿剤

ホルモン剤に抵抗のある方や使用できない方は、性交痛を和らげるために性交時に潤滑ゼリー(産婦人科医推奨のリューブゼリーは、ヒアルロン酸やセラミド配合のもの、分包タイプ、つけたときにヒヤッとしない温感タイプなどいろいろあって便利です。)などを使用する、外陰部の皮膚にデリケートゾーン用の保湿剤を使用する、といった対症療法があります。こういった製品を「フェムテック(=女性のためのテクノロジー)」といいます。

メリット

市販のものも多く出回っていますので、手軽に始められます。ホルモン剤を使用できない人でも使用できます。潤滑剤を使用することで、パートナーさんの感度も上がり、より良い時間が過ごせることも多いですから、恥ずかしがらずにいろいろ試してみてくださいね!味がついていて、口の中に入れても大丈夫な製品も出ていてビックリ!試してみたくなりませんか?

デメリット

根本的な治療法ではないため、使用を中止することで症状が再燃してしまうことが多いです。皮膚の状態によってはしみたり、余計にヒリヒリ感が強くなってしまうことがあります。

5.メディカルアロマの製品

フランス発祥のメディカルアロマは医師が処方する薬としてフランスでは使用されています。かゆみを抑えたり雑菌の繁殖を抑えたり皮膚の再生を促すハーブウォーター、皮膚の保湿にキャリアオイル、などがあります。を当院では各種取り揃えています。自然の物でいきたい!という方は是非ご相談ください。ハーブウォーターは香りも楽しめますよ。

メリット

皮膚に塗布することで分子の小さいアロマ製品は、有効成分が皮下の血管に入っていくため、局所だけでなく全身の健康増進に役立ちます。保存料や添加物なしの天然100%ですので、安心して使えます。

デメリット

口に入っても大丈夫な質の良い製品を必ず使用してください。薬と同じで、使用できない場合やアレルギーが出る場合があります。メディカルアロマに精通している医師に相談してくださいね。

6.炭酸ガスレーザー照射治療(モナリザタッチ)

レーザー照射を膣内や外陰部に行うことで、わざと傷をつけ、そこからの自然治癒力を利用して、薄くなってしまった粘膜や皮膚のコラーゲンの再生を促し若々しい膣粘膜や外陰部の皮膚を作り出す治療法です。個人差はありますが効果は早く、1~2カ月の頻度で2~3回受けていただくと症状改善の実感が出てきます。繰り返す「萎縮性膣炎」を治療していきたい方に一度試していただきたい治療法です。

メリット

ホルモン剤を使用しないので誰でも受けられる、粘膜や皮膚の構造上のアンチエイジング(若返り)を期待することができる。たった1回でも早い方で治療から数日で効果が出るのを実感できます。

デメリット

自由診療のため治療費が高額なことが多いです。治療を行っている病院が限られており、自宅近くに無い場合もあります。

自宅でのセルフケア

萎縮性膣炎になったら市販の治療薬は使える?

まずは「萎縮性膣炎」で悩まないように、顔や他の体の部分と一緒で症状は無くても若いうちからスキンケア(塗ってマッサージをする)を行って、予防していきましょう!

何度も言いますが保湿が一番大事になります。

最近はデリケートゾーン用の様々な製品が市販で販売されていますので、デリケートゾーンの保湿効果のあるものを色々試してみると良いでしょう。

1.保湿ゼリー・クリーム

ヒアルロン酸やセラミド配合などの成分のものがより乾燥改善には良いかと思います。また、ゼリー状・クリーム状・ローション・オイルタイプの質感はさまざまですので、サラッとタイプが良い、しっとりタイプが良いなどの自分の好みに合うものを選びましょう。外陰部の皮膚がひび割れてしまっていたり乾燥が強くヒリヒリするなどの症状が強い場合には、水分量の多い質感のものはしみる場合があります。染みる時は次にお示ししたワセリンで保護しておいて、症状が治まったら保湿剤を顔や体のスキンケア同様、普段使いをして乾燥を予防しましょう。

2.白色ワセリン

皮膚の上にラップをかけるようなイメージで、いたんだ皮膚に油膜を張り外からの刺激をガードできるので、症状の強い時に使用すると良いです。また、保湿剤を塗った上からさらに塗ることで水分を閉じ込めて保湿の効果を上げる、などもすることができます。

3.外陰洗浄剤

pHが皮膚と同じ弱酸性で、保湿効果の高い洗浄剤を使い、決してゴシゴシ洗わないようにしましょう。トイレのビデは外陰部の皮膚には刺激が強いので、ビデを当てたときに「痛い」「最初は痛いけどだんだん快感になってくる」といった人は、すでにかなり外陰部の皮膚がいたんでいると思ってください。また、どうしても水で流したい場合には、人肌程度のぬるま湯をペットボトルなどに入れておいて、上からゆるゆるとかけて流す程度にすると良いです。

4.膣洗浄剤

膣の中を悪い雑菌から守ってくれる膣内常在菌を増やしながら、おりものを洗い流してくれる乳酸菌入りの膣洗浄剤があります。(膣洗浄剤は注意をしないとかえって膣内の環境を悪化させてしまいますので注意して選んでください。)

5.乳酸菌サプリ

膣の環境を守ってくれる良い菌はデーデルライン桿菌という名前の乳酸菌の一種です。最近は乳酸菌のサプリを内服することで、膣内の乳酸菌を増やすことができる、といったものも出てきているようです。
セルフケアを試してみてもなかなか症状の改善が見られない時は、私たち産婦人科医の出番です!是非お気軽に、そしてお早めにご相談ください!

萎縮性膣炎のQ&A

Q1;萎縮性膣炎は自然に治ることはありますか?また放置するとどうなりますか?

萎縮性膣炎は加齢によって女性ホルモンの分泌が減少することで生じます。自然に治ることはありません。放置すると、治療を開始した時に症状緩和までの時間が長くなってしまい、ひとによっては症状にとらわれすぎて、症状に異常に敏感になり精神的に弱ってしまう原因にもなり得ます。

Q2;萎縮性膣炎はどれくらいの期間で治療できるの?

どの治療法を選んでも、1~3ヶ月で症状の緩和がみられます。

Q3;ワセリンは萎縮性膣炎に効果的ですか?

ワセリンは天然の石油由来の成分でできた鉱物油です。塗った場所に油膜を張ることができます。乾燥感やヒリヒリ感の強い部分に塗布することで外からの刺激から患部を守ってくれます。また、保湿剤を塗布した上にワセリンを重ねると、水分がより閉じ込められて乾燥を防ぐことができます。白色ワセリンというワセリンを精製したものを使うと、より皮膚に優しいです。

Q4;萎縮性腟炎を繰り返す場合はどうしたらいいですか?

使用可能な方であればホルモン剤の使用を行いながら膣・外陰部炭酸ガスレーザー照射治療を行い、粘膜や皮膚の構造的な若返りを図りながら、保湿をしっかりしていくことをおすすめします。

まとめ

萎縮性膣炎は多かれ少なかれ、年齢を重ねていく女性には必ず生じるもの。

50歳以上の女性で「デリケートゾーンの事には何も悩んでない」と言っている人でも、よくよく話を聞けば萎縮性膣炎の何かしらの症状を持っています。ですので、今これを読んでいるあなただけの悩みではないことにまずは安心してください!

そして早いうちにセルフケアを、そして産婦人科の扉を叩きご相談にいらしてほしいと思います。

乾燥感、かゆみ、性交痛、頻尿、尿もれ、出血、おりものの変化など、たいしたこと無いから、と放っておくと徐々に悪化して、ついには外出するのが億劫、ひとと会うのが憂うつ、という状況に陥ることにもなりかねません。社会的なつながりを絶ってしまうと認知症が進む原因になります。

人生100年時代、元気な女性が多いと社会も元気になります!
最期の一瞬まで楽しく笑顔で過ごしていただくためにも、女性は「萎縮性膣炎」という状態をきちんと知って、積極的にケアをしながら人生を謳歌してほしいと思っています。

仲 栄美子

仲 栄美子(なか・えみこ)
たかき医院 院長/日本産婦人科学会 専門医


女性の健康と心に寄り添うヘルスケアアドバイザーとして、日々診療にあたっています。
医師としての知見に加え、ヨガやメディカルアロマ、精油の知識を活かし、ライフステージごとに変化する女性の体と心をトータルにサポートしています。

取得資格・活動

  • ヨガインストラクター RYT200(サントーシマ香 師事)
  • 産後ヨガインストラクター
  • チェアヨガインストラクター
  • 骨盤底筋ヨガインストラクター(高尾美穂 師事)
  • MAA認定メディカルアロマプラクティショナー
  • MAA認定キャリアオイルマスター
  • MAA認定ホルモンアドバイザー
  • yuica認定 日本産精油インタープリター

著書

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