MENU
院長ブログ

更年期や閉経後の性交痛に悩む方へ|症状・原因・対策を産婦人科女医がわかりやすく解説!

こっそり皆さんにお聞きします。

「性交痛」はありませんか?

このお悩みを持つ人は、実は結構いらっしゃると思うのですが、更年期以降の方は自分が性行為をしているということすら口に出しにくい風潮があるので、よほどうまく聞き出さないと分からないお悩みです。いかがでしょうか?

では皆さんは、何かすぐに治らない痛みの経験をしたことがありますか?

私の経験としてはぎっくり腰があります。ぎっくり腰はある日突然やってきて、何をしていても腰が痛い、仕事中はあまりのつらさに脂汗が出る、夜寝ていても寝返りを打つたびに激痛が走り目が覚める、しばらくそんな毎日が続きました。

そのうち一日中腰痛で頭のことがいっぱいになり、二度と治らないかもしれない不安にとらわれて、気持ちも病んできます。いったん治った後も、精神的なストレスを感じるとぎっくり腰になっているわけでもないのに、ずーんと腰痛を感じて思わずしゃがみこんでしまうことがあります。いわゆる腰痛トラウマ、私のウィークポイントになってしまったわけです。

このように「痛い」という体験は、体もそうですが精神的にも大きな負担になります。それは、今回お話する「性交痛」も同じです。痛みは日々の生活の中に大きな陰りを落とします。

しかも「性交痛」は痛みの中でも、なかなかひとに相談しにくい悩みです。痛みを抱える期間が長くなればなるほど、精神的なストレスになってきますので、今回のお話で少しでも悩んでおられる方の体も心も楽にできたら、と思っています。

更年期の性交痛

「性交痛」とはどのような状態か?

「性交痛」とは、勃起した陰茎を膣に挿入しようとした時に、あるいは挿入した時にデリケートゾーンに痛みを生じる状態です。

痛みを感じる場所は、

膣の入り口…陰茎を挿入する時に痛い
膣の奥…奥を突かれた時に痛い
外陰部、肛門周囲…こすれた時に痛い

と多岐にわたり、その原因もさまざまです。

更年期の性交痛は?

更年期の性交痛は、主な原因はエストロゲンの分泌の減少に伴う皮膚や粘膜の乾燥により生じる「濡れなくて痛い」という状況です。

放置するとどうなるの?

濡れないまま摩擦が生じると、デリケートゾーンの皮膚が切れたり赤くなったり、膣の中も出血や炎症が起きたりするようになるだけでなく、「痛み」の恐怖に性行為自体を拒否するようになってしまい、お相手との関係も気まずくなってしまうかもしれません。

更年期の性交痛の原因

ホルモンバランスの変化/エストロゲンの減少による影響

更年期になるとそれまでたくさん分泌されていた女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少し、次のような変化が出てきます。

1.身体的な要因

股関節など体が硬くなることで性交時の体位がつらくなる。

男性器の挿入困難

デリケートゾーンや膣粘膜のコラーゲン量が減る、水分量や油分が減る、皮膚や粘膜の厚さや弾力が少なくなる、などから、膣自体の萎縮が起きて勃起した陰茎の挿入が難しくなります。

濡れにくい

血流が減っておりものの分泌が減ることから、濡れないという状況が起こり、挿入がさらに困難になったり、挿入できても痛くて性行為を続けられない、などが起こります。

2.心理的な要因

自律神経の乱れ

更年期になると自律神経のバランスが乱れ、交感神経が過剰に働くようになり、血流が減っておりものの分泌物が減る、膣の伸びが悪くなることが起こり、性行為時に痛みを伴うようになります。

ストレスと性交痛の関係

また、更年期の年齢は、家庭や仕事でのストレスも大きくかかる時期と重なります。ストレスがかかると、余計に自律神経のバランスが交感神経を過剰にさせるようになってしまうため、性交痛には悪影響です。

性欲低下とパートナーとの関係性

今までに出会ってきた女性に話を聞くと、妊娠・出産をきっかけに性欲が低下する、という人が多いようです。それに加えて、長年連れ添ってきたパートナーに恋愛感情が失せてきてしまっていると、恋のときめきによるドーパミンというホルモン分泌が減少し、ドーパミンによる幸福感から生じるエストロゲンが減少してしまいます。

(このテーマをもっと詳しくご覧になりたい方はコチラの記事もご覧ください→院長執筆記事/ダイヤモンドオンライン「恋多き人、性欲の強い人は、将来の妊娠にどんな影響があるのか?

恋多き人、性欲の強い人は、将来の妊娠にどんな影響があるのか?

以前、韓流がブームだった時に、身近な閉経後の女性がヨン様に熱を上げて月経が戻ってきた、ということがありましたが、ときめくということはエストロゲンの分泌の増加に大いに役立つわけです。ですから、パートナーとの性交時に痛みを生じやすい人は、お相手との関係性も見直す必要があります。

更年期症状と関係ない性交痛の原因

外陰部の一般的な皮膚炎

体に合わないものに皮膚が接触したことが原因で皮膚が炎症を起こして、ただれてしまう接触性皮膚炎があると、性交による摩擦で痛みを生じます。

女性のデリケートゾーンの接触性皮膚炎の原因で一番多いのは、新しい下着(特に化繊素材のもの)、初めて使うおりものシートや生理用ナプキンです。

「勝負パンツ」を準備していたのに、それをつけたために大事な時に皮膚炎を起こしてしまわないように、つけるまえに一度洗ったりつけてみたり、予行練習が必要です。

性感染症

クラミジア感染症・淋病・トリコモナスは、外陰部から膣、膣から子宮、子宮から卵管へ菌が上行し、そして卵管から骨盤内へ菌が拡散して、子宮の入り口の頸管炎や重症になると、骨盤腹膜炎を起こします。

骨盤腹膜炎まで生じると、雑菌の繁殖も同時に起こるようになり、性交痛だけでなく、発熱や腹痛など全身的な症状になります。

細菌性膣症

主に大腸菌による菌が膣の中に入るような不潔な状態でいると、菌がクラミジア感染症や淋病の菌と同じように上行し、骨盤腹膜炎を起こします。骨盤腹膜炎まで行きついてしまうとなかなか完治しづらく、たびたび症状をぶり返すということが起きます。

アレルギー/ラテックス

ラテックスゴム製のコンドームにアレルギー反応を起こし、そのために外陰部の皮膚や膣粘膜が炎症を起こしてヒリヒリしたり、かゆみが出たり、皮膚が荒れてしまうことで性交痛につながることがあります。いわゆるラテックスアレルギーというものです。

医療従事者の3~12%、一般人の1~6%にラテックスアレルギーがあるといわれています(矢上晶子,2013年医学界新聞記事)。 重症になると、ショック状態になる人もいますので、性交痛のある人はラテックスアレルギーが無いかを一度確認してください。もしもアレルギーが疑わしい場合には、現在は非ラテックス製のコンドームもたくさん市販されていますので、そちらを使うようにしてください。

ゴム手袋にかぶれる、南国のフルーツを食べると口の周りがかゆくなる、といった方はラテックスアレルギーのリスクが高いですので気をつけてくださいね。

アトピー性皮膚炎の人のように肌の弱い人は、他人の汗や精液などにもアレルギーを起こしヒリヒリやかゆみが出ることもあります。セックスが終わったら早めにデリケートゾーンを拭くなどしてケアをしてください。

外陰炎

・外陰ヘルペス

外陰ヘルペスは、外陰部に水疱が出来てつぶれる外陰炎を起こす性感染症です。水疱ができ始めるとピリピリとした痛みを生じ、水疱がつぶれると何をしていなくても激痛を感じます。外陰ヘルペスのできた状態では、痛みが強いため性交自体することは困難になります。

・尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマは外陰部にニワトリのとさか状のできものが外陰部に出来る性感染症です。できものができた皮膚に摩擦の刺激が加わると、刺激で出血する可能性があります。

・カンジダ膣外陰炎

カンジダ膣外陰炎はかゆみが強いので皮膚を搔き壊してしまうことがあり、その時は性交の摩擦刺激で痛みを感じるようになります。

子宮内膜症

子宮の内側にある子宮内膜が本来の場所以外の場所にできる病気で、子どもを妊娠出産する年齢の5~10人に1人は持っているといわれています(一般社団法人日本内分泌学会/「子宮内膜症」一般向け説明資料)。 全身のどこにでもでき、できた場所で子宮内膜のように働き、月経のたびに月経血を出血しながら増殖し炎症や癒着を起こしていきます。

子宮の筋層や卵巣の中にできると、月経血が貯留して子宮腺筋症や卵巣嚢腫などを起こします。月経の出血回数が多くなればなるほど悪化し、月経痛や月経量を重くします。子宮内膜症のできた臓器は炎症や癒着が強いため、その臓器が押したり揺らされたりすると痛みを感じます。

また、子宮内膜症は月経痛や性交痛以外にも、腰痛、排便痛、閉経前の40代くらいになると月経時以外の腹痛などが生じます。そして20~30代に発症して、半数の人は不妊につながるといわれています (日本産科婦人科学会/「子宮内膜症」市民向け解説資料)ので、月経が始まってから徐々に月経痛が強くなってきたなと思う人は、放っておかずに早めにご相談いただきたいと思います。

子宮筋腫

子宮に良性のこぶができる病気で、30代では3人に1人は持っているといわれています。できる原因はまだ明らかにはなっていませんが、月経が来るたびに少しずつ大きくなっていきます。できる場所によって漿膜下筋腫、筋層内筋腫、粘膜下筋腫と名前がつけられます。

多くは月経痛や月経量を重くしますし、こぶが大きくなれば便秘や腰痛や下腹部にしこりをさわる、などの症状が起こってきます。できた場所や大きさによって、また子宮内膜症を合併する方も多いため、骨盤内の炎症や癒着の程度によっては性交痛の原因になります。

骨盤内炎症性疾患/骨盤内癒着

これまでの話を振り返ると、骨盤の中に炎症を起こす可能性のある病気として、性感染症・細菌性膣症・子宮内膜症・子宮筋腫などがありました。骨盤内の炎症が長引くと、骨盤内の臓器同士の癒着が生じ、性交痛の原因になります。

更年期の性交痛の症状

痛みの発生場所は?

最初にも書きましたが、性交痛を感じる場所は

・膣の入り口

陰茎を挿入する時に痛い

・膣の奥

奥を突かれた時に痛い

・外陰部、肛門周囲

こすれた時に痛い

があります。

膣壁

膣壁はもともと痛みを感じにくい場所です。

どんな痛み?痛みの感じ方は?

・膣の入り口の痛み

表面の摩擦でヒリヒリ、その後のかゆみ、乾燥して伸びにくい膣や会陰を無理に広げようとしてピリッと裂けたような痛み

・膣の奥の痛み

ピストン運動など奥を突かれた時に膣の奥からお腹の中へ突き上げるようなツーンやズンッとした痛み

・外陰部、肛門周囲の痛み

外陰部や肛門周囲は膣の入り口と同じように乾燥した皮膚の摩擦による痛みや皮膚がすりむけて染みるなどの症状

その他の症状

もともと更年期になるとエストロゲンの分泌が低下してくるので、膣粘膜や外陰部の皮膚は弾力を出すコラーゲンが減り薄くなって刺激に弱くなっている上に、血流が減って分泌物が出なくなり乾燥してきます。

また、エストロゲンの分泌が低下してくると性欲の低下も起こり、パートナーへのときめきも失われていると、余計に濡れない状況に陥ってしまいます。すると、陰茎の挿入などの摩擦で粘膜や皮膚がいたみ、出血やいつもと違うおりものが出るなどが起こります。

産婦人科を受診すべき症状

要注意の症状について

次のような時は早めに産婦人科を受診してください。

・性交痛が翌日まで続く時。

・性交痛だけでなく、出血や膿のようなおりものが出る、おりものが明らかに腐敗したような嫌なにおいがする時。

・性交痛とともに外陰部に何かできものができている時。

・性交痛を伴うセックスの後に発熱や腹痛が生じた時。

・閉経後の方で性交痛があり、セックス時以外のときも明らかにヒリヒリするような感覚が続いている時。

・性交痛だけでなく排便時に肛門の奥がツーンとする感じがある時。

月経痛が年々ひどくなっていると感じた時。

更年期の性交痛の治療法と対処方法

1.セルフケア

なんといっても「潤い」ケアが一番大事です。

機械もまめに磨き、油をさしているものは長持ちしますよね。私たちのデリケートゾーンも一緒です。若いうちは知らないうちにエストロゲンパワーで磨かれ油がさされていましたが、更年期になったら気にしてケアをしていく必要があります。

・洗浄

デリケートゾーンの皮膚の油分を落としすぎず、必要な汚れは落としましょう。
洗浄剤は弱酸性で刺激の少ないものを選んで、ゴシゴシこすらず泡でなでるようにひだの間を優しく洗います。

・保湿

洗浄後はしっかり保湿します。保湿の方法は、ジェル、クリーム、オイルなど、色々な製品がありますので、ご自分の使い心地の良いものを使用してください。毎日続けられることが大事です。

・血行を良くする

髪を育てるのにも、頭皮に何かをつけるだけでは無くて血行を良くすることが大事です。血行が良ければ酸素や栄養がデリケートゾーンの皮膚や粘膜にも行き届きやすくなります。

特に更年期になると股関節が固くなりますので、そちらをほぐして骨盤内の血流を良くする体操をおすすめします。以下は一例としてストレッチ方法をご紹介いたします。

簡単!股関節ストレッチ1

簡単!股関節ストレッチ2
股関節ストレッチの超簡易ポイント

・呼吸は「吐きながら」体を倒し15~30秒キープ
・「痛気持ちいい」ラインでストップ
・毎日or2日1回・1回15分以内で継続
・痛みが出たら即中止

・鼠経部や臍周りをマッサージする

鼠径部マッサージのポイント
・仰向けでリラックスした状態で行う
・手のひらで優しく足の付け根を撫でるようにさする
・強く押さず、気持ちいい程度の力加減で行う

臍周りマッサージのポイント
・おへその周りを指で時計回りにゆっくり押す
・軽く押しながらリンパの流れを促すイメージで行う
・無理せず痛くない範囲で行う

共通の注意点
・息を吐きながらゆっくりマッサージする
・1回あたり5〜10回を目安に行う
・リラックスして行うことが大切

このように簡単に続けられると、血行やリンパの流れが良くなり、体がほぐれやすくなりますよ。

・食事のバランスに気をつける

膣内の乳酸菌を育てるために発酵食品を上手に摂るのをおすすめします。また、皮膚や粘膜を守り強くするビタミン各種もおすすめです。更年期世代の人は女性ホルモンに似た物質を作り出すものとして大豆及び大豆製品や、体全体のコンディションを整えるオメガ3脂肪酸を摂っていきたいものです。

2.病院で治療する

ホルモン補充療法

「潤い」を取り戻すために病院で出来る治療は、ホルモン補充療法です。失われた女性ホルモンを少し補充することによって皮膚や粘膜の乾燥感が減るので性交痛が和らぎます。

ただし、女性ホルモンを全身に投与する場合には、乳がんや子宮体癌など女性ホルモンに関係のあるご病気のある方は使用できませんので、その場合はレーザーの照射でデリケートゾーンの皮膚や粘膜を、ふっくら弾力のあった若い頃のように再生するモナリザタッチをおすすめします。

モナリザタッチ

性交痛にお悩みの方へ|モナリザタッチが選ばれる理由

モナリザタッチは、膣の乾燥・萎縮・ゆるみによる性交痛を改善する炭酸ガスレーザー治療です。

「痛みの原因」を根本改善

モナリザタッチは腟粘膜のコラーゲン再生を促し、潤いと弾力を蘇らせます。
性交痛改善とともに、尿もれ予防・感度アップ効果も期待できる先進治療です。

こんな方に選ばれています!

▸更年期による腟の乾燥・萎縮が気になる
▸産後の腟のゆるみ・性交痛が悩み
▸乳がん治療後のホルモン剤使えない方
▸「パートナーとの関係改善」を目指したい方

施術をご検討の方へ

「新潟県初導入!たかき医院のモナリザタッチ」をご覧くださいね。

膣炎や外陰炎の治療

潤い不足だけでなく、すでに出血やいつもと違うおりものがある場合などは、膣炎や外陰炎を改善する治療を先に行います。抗生物質の入った膣剤や塗り薬などを用います。膣内は膣炎を再燃しないように、常在菌である乳酸菌を育てることも同時に行います。

当院では生きた乳酸菌のサプリ「エビネフローラ」をオススメしています。

3.パートナーとのコミュニケーション

性交痛
「ときめく心」が重要!

何度も書いてきましたが、「ときめく心」がなんといっても女性の細胞を若返らせます。

セックスをするお相手といつまでもときめく関係を持ち続ける努力は大事です。自分はしたくないけど、お相手がしたいからセックスする、という状態ではいつまでも性交痛はなくならないと思った方が良いかと思います。

そして、ときめく関係だけど性交痛が無くならない時には、性交痛で悩んでいることを素直に伝えて、お相手にも性交痛を理解してもらうことが大事なのかな、と思います。

更年期性交痛に関するQ&A

Q1.性交痛を改善するために市販薬は効果があるの?

A1.ゼリー付きのコンドームがありますので、そちらを試すのも良いでしょう。また、セックスの時に使う潤滑ゼリーはさまざまな製品がありますが、1982年に発売されて以来産婦人科医に推奨されている水溶性のリューブゼリー があります。ヒアルロン酸入りで保湿力が高いのものや1回分ずつの個包装になっているものなどもあり使いやすいです。

更年期以降の方でエストロゲンの分泌が低下したために乾燥感が強く性交痛がある場合には、エストロゲンを含有した軟膏が市販で販売されていますので、それを使用してみてください。ただし、女性ホルモンの入った薬剤を使うことができない人もいますので、購入の際は医師や薬剤師に確認をしてご使用ください。

Q2.性交後に下腹部の痛みが気になりますが、放置していいでしょうか?

A2.性交後に下腹部の痛みがある場合には、子宮内膜症や性感染症で骨盤内に炎症が起きている場合が考えられます。また、更年期になると女性ホルモンの分泌が低下してデリケートゾーンの粘膜の乾燥が起きるため、性交の刺激で粘膜が傷み膣炎だけでなく膀胱炎になり、下腹部が痛むこともあります。

どちらにしても炎症が起きていますので、放っておくと、症状がひどくなってしまうことがありますので、毎回性交後に痛みを感じる、その痛みがしだいに強くなる、翌日まで痛みが続くなどの場合には、早めに産婦人科を受診して相談してください。

Q3.性行為後の倦怠感が気になりますが、受診すべきでしょうか?

A3.女性で性行為後に倦怠感が強い場合には、HIV感染、梅毒、B型肝炎などの性感染症にかかっている可能性があります。早めに受診して相談してください。

Q4. 更年期の性交痛はいつまで続くの?

A4. 更年期の性交痛は何もしなければいつまでも続きますし早く対応すればその分早く楽になります。
更年期の性交痛の原因のほとんどはエストロゲンの分泌低下によるものです。

更年期になると起こるエストロゲンの分泌の低下で、外陰部の皮膚や膣の粘膜の乾燥が起こり、性交中の性器の摩擦が痛みが生じます。また、更年期世代の女性は仕事・育児・家庭の状況などストレスを多く感じる年代のため、ストレスからくる自律神経の乱れで、より濡れにくい状況が起こり、性交痛につながります。

まずは女性が気分よくセックスを楽しめる環境づくり、たとえば潤滑ゼリーを使う、パートナーとの関係を見直す、などをすることをしてみてください。ただ、エストロゲンの分泌の低下は自然に改善してくることは無いため、それでも性交痛が改善しない時には婦人科を受診していただくと、少なくなってしまったエストロゲンを補充するホルモン補充療法、デリケートゾーンの皮膚や粘膜に潤いを取り戻すレーザー治療など、のご提案をさせていただけると思います。

まとめ

「痛み」は続くと精神的なストレスになり、それで鬱になる人も少なくありません。日常生活の中に「痛み」を生じる要素がないことは、それだけで幸せなのです。

本来セックスをしている時は、幸福感、快感、充足感、安心感、などの良い気持ちに満たされるはずなのに、そこに「痛み」を感じるのは、より苦痛として記憶に残ってしまう可能性があります。

また、性交痛を感じるのは、多くは自分の体調のせいかもしれません。性交痛から自分の体調を素直に見つめてケアしてあげることは大事なことです。そして、セックスは相手があって成り立つものです。お相手が性交痛で悩んでいないか、本当に良い気持ちに満たされてセックスを出来ているのか、もし悩んでいるならどこで痛みを感じているのか、それをパートナーの方が汲んで解決法を探ろうとする寄り添いの姿勢や心を持つことも、性交痛を和らげる一つの薬だと私は思っています。

でも、どうか、今経験されている性交に伴う痛みが長引いているようであれば、その「痛み」がトラウマになってしまう前に、お早めに産婦人科にご相談いただければと思います。

仲 栄美子

仲 栄美子(なか・えみこ)
たかき医院 院長/日本産婦人科学会 専門医


女性の健康と心に寄り添うヘルスケアアドバイザーとして、日々診療にあたっています。
医師としての知見に加え、ヨガやメディカルアロマ、精油の知識を活かし、ライフステージごとに変化する女性の体と心をトータルにサポートしています。

取得資格・活動

  • ヨガインストラクター RYT200(サントーシマ香 師事)
  • 産後ヨガインストラクター
  • チェアヨガインストラクター
  • 骨盤底筋ヨガインストラクター(高尾美穂 師事)
  • MAA認定メディカルアロマプラクティショナー
  • MAA認定キャリアオイルマスター
  • MAA認定ホルモンアドバイザー
  • yuica認定 日本産精油インタープリター

著書

デリケートゾーンの記事RANKING