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「膣から何かが出てきました」
ほとんどの人がこのように問診票に書き、深刻な顔をして診察室に入ってきます。
「一体何が出てきているの?なぜ急にこんなことが?何が悪かったの?治るの?」
と、たくさんの「?」
が頭の中に巡りながら。
これは骨盤臓器脱の患者さんの訴えです。
骨盤臓器脱の中には、
子宮脱、膀胱脱(=膀胱瘤)、直腸脱(=直腸瘤)があります。
冒頭のように急に症状が出たことでビックリして病院を受診する人が多いのですが、分かっているのに我慢している、違和感があったのにデリケートな場所のために放置していた、あるいは本人が気づかないうちに徐々に症状が進み、と骨盤臓器脱は年齢を重ねていく女性のすぐ隣に潜んでいる状態なのです。
中には
「どこに相談に行けばよいか分からなかった」
「場所が場所で恥ずかしくて誰にも相談できなかった」
などの方もいらっしゃって、お孫さんとお風呂に一緒に入った時に
「おばあちゃんにはおちんちんがあるの?」
と言われてしまうくらいに深刻な症状になってしまってから受診する人もいます。
主に閉経の近づく40代後半から起きてくる骨盤臓器脱ですが、実は20~30代の若い人でも起こり得る骨盤臓器脱の中でも、今回は膀胱脱(=膀胱瘤)をピックアップしてお話します。
目次
膀胱脱とは?
まず、膀胱脱は骨盤臓器脱の一つです。
そして骨盤臓器脱にはほかに直腸脱(=直腸瘤)、子宮脱があります。
膀胱瘤と膀胱脱は言い方の違いで同じものを指しています。
骨盤内の臓器を正しい位置に保つ筋肉を骨盤底筋といいますが、この筋肉が緩んでしまうと骨盤臓器脱が起こります。筋肉のゆるみ方によって、膀胱が特に下がってしまう状態を膀胱脱、子宮が特に下がってしまう状態を子宮脱、直腸が特に下がってしまう状態を直腸脱といいます。
正常な女性器《断面イメージ図》

骨盤臓器脱《断面イメージ図》

どれか一つだけ起きている、あるいは複数の臓器脱が同時に起きている、という場合もあります。
「脱」と「下垂」について
また、膣の入り口から臓器が下がって出てしまっている状態を「脱」といいますが、臓器が下がってきているが膣の入り口からはまだ出ていない状態を「下垂」といいます。
つまり、膀胱下垂が進行すると膀胱脱になる、というわけです。
そして、骨盤臓器脱は
「お風呂に入って体を洗っている時に、膣の入り口から何か丸い物が出てきているのに気づきました。」
が患者様から教えていただける最初の症状になります。
膀胱脱の初期症状とセルフチェック
・初期にあらわれやすい症状
膣の入り口に普段はさわらない何かに触れる、何かが下がって膣の入り口に挟まった感じがする、あるいは触れる、というものです。
触れる何かを丸いもの、肉のようなもの、子宮、などと表現する人もいます。
・進行するとどうなる?段階ごとの症状
骨盤臓器脱の進行度としてPOP-Q分類があります。

それに合わせてどんな症状を患者様が訴えやすいかを説明します。
stage1
骨盤内蔵器(膀胱、子宮、直腸)が本来ある位置より少し下がっているけれど、膣の入り口には触れない状態。
婦人科医が診察をして気づくことが多く、本人としては自覚症状はほぼないことが多いです。
stage2
骨盤内蔵器の一番下がっている部分が膣の入り口まで来ている状態。
本人としては何かが触れるという状態です。
・夕方疲れたころや重いものを持つと何かが下がった感じがする、排便時に踏ん張ったり膣の入り口に何かが触れる
・腰痛や腹痛がする
臓器が下がることによって腰やお腹の筋肉が引っ張られる
・尿漏れがする
臓器が下がることにつられて尿道が折れ曲がってしまうため、尿を漏らさないようにするために本来働く骨盤底筋の動きが伝わりにくいため
・頻尿
本来の膀胱の形が変わってしまうため
stage3
骨盤内臓器の一番下が下がっている部分が膣の入り口から1cm以上出てしまっている状態。
・何かが常に膣の入り口にある、股に何か挟まった感じがする
・入浴時に丸いものが膣の入り口に触れる
・出血する
主に子宮脱の場合に起こる症状で、子宮の入り口にあたる子宮膣部が下着でこすれることによって傷つき出血します
※ほかの症状は、ほぼstage2と変わりません。
stage4
骨盤内臓器の全体がすべて膣の外に出てしまっている状態。
・何かが膣から飛び出てぶら下がっている
・他人から入浴時に指摘される
・出血する
主に子宮脱の場合に起こる症状で、子宮の一番下がった部分が下着でこすれることによって傷つき出血します
・尿がちょろちょろとしか出ない、あるいは出そうと思っても出ないことがある
自宅でできるセルフチェック方法

下記の項目に5個以上該当する方は注意が必要です。
①便秘でいつもきばって出している
②BMI30以上の肥満
ご自分の体重kgを身長mで2回割ってみてください。
例:72㎏÷1.54m÷1.54m=30.3…これがBMIです
③重いものを持つ仕事をしている・していた
④ジョギングが趣味
⑤花粉症がありしょっちゅうくしゃみや咳をしている
⑥経腟分娩をしたことがある
⑦3500g以上の子どもを出産したことがある
⑧子宮摘出手術をしている
⑨尿漏れ、頻尿、残尿感を感じやすい
⑩閉経後である
症状がある場合は医師へ相談されることをお勧めいたします。
症状が無くても骨盤臓器脱や下垂があるかどうかは産婦人科で診察することができます。
膀胱脱の原因となりやすい人とは?

・妊娠出産歴
妊娠・出産は骨盤底筋という骨盤内臓器を本来の位置に保つための筋肉をいためます。
妊娠中は子宮が重くなっていくことやご自身の体重も増えてしまうこと、リラキシンというホルモンの影響で関節や筋肉が緩みやすくなり、それに伴って骨盤底筋に負担がかかり、緩み伸びてしまいます。
経産婦さんで、ある程度子宮が大きくなってくる妊娠中期までに子宮口が膣の入り口のところまで下がってしまう子宮脱が起こることがあり、妊娠中に子宮脱の治療をする人もいます。
また、出産中は陣痛の時間が実はいきむときより骨盤底筋をいためるいわれています。吸引分娩、鉗子分娩、会陰切開も骨盤底筋をいためる原因になります。
また、出産経験の多い方はそれだけ頻回に骨盤底筋をいためていますし、3500g以上の大きな赤ちゃんを出産することも骨盤底筋をいためる原因になります。
ということで、産後すぐに20代や30代でも膀胱脱を含めた骨盤臓器脱を経験する人は少なくありません。
産後1年以内にケアを!
妊娠~出産でいたんだ骨盤底筋は、産後1年以内にしっかりケアしリカバリーしておくこと!それが後々の骨盤臓器脱の予防につながります。
・加齢による影響
年齢を重ねていく過程では、何かしらの手を打たないと必ず筋力低下が起きるものです。
特に40歳を超えると1年に1㎏の筋肉が落ちていくといわれています。
骨盤内臓器を支える骨盤底筋は実はとても小さく薄い筋肉です。

そしてなかなかその筋肉だけを鍛えていくのは難しい場所にあります。鍛えにくい筋肉ほど落ちていくのが早いです。
自宅にいながら骨盤底筋を鍛える方法もあるので、はやいうちから意識して筋力を落とさないように運動習慣を作っていきましょう。
・ホルモンバランスと筋力低下
20代で分泌のピークを迎え、30代後半からは分泌が低下してくる女性ホルモン(エストロゲン)は、筋肉を作り維持するために大事なホルモンです。

40歳を過ぎると年齢的に筋力が衰えてくるばかりでなく、女性ホルモンの分泌が低下しさらに筋力が減ることで、骨盤内臓器を支える筋肉が減っていき、閉経後に骨盤臓器脱を起こしやすくなってしまいます。
また、睡眠不足やストレスが自律神経を乱してホルモン分泌を低下させてしまうことがあります。若いうちからストレスを貯めない方法を探ってみましょう。
注目!えみこチェーック!!

若いうちから痩せ体型の方
閉経しなくても骨盤臓器脱が起こる可能性があります。
というのも、20代の若い方ですでに子宮が下垂している方は少なくありません。若い時の過度なダイエットは絶対にしないように気をつけてください!!
・生活習慣も大いに関係する
骨盤臓器脱を起こさないためには、女性ホルモンをしっかり分泌させて若いうちから骨盤底筋を鍛えて、極力閉経後に筋力を落とさない、ということが大事になってきます。
そのためには、
・しっかり筋肉の元になるたんぱく質を取る食生活
・ホルモンの元になる良い脂質を取りストレスを減らして女性ホルモンの分泌を活発にする
・運動習慣を身に着ける
を心がけていきましょう。
また、
・肥満、便秘
・花粉症、アレルギーなど頻回にくしゃみや咳をする
・仕事上で重たいものを常に持ち運んでいる
などは骨盤底筋を痛める原因になります。
肥満や便秘の解消、アレルギーの治療、腹圧をかける時には息を止めない、なども頭に入れておいて欲しいものです。
「膀胱脱」放置すると?自然治癒は?

・自然治癒の可能性は?
残念ながら、一度骨盤内臓器は下がり始めると自然に治ることはありません。
徐々に食生活、妊娠出産の経験、仕事の種類、加齢、運動習慣、閉経など様々な日々の原因の積み重ねで多少なりとすべての人で骨盤臓器脱は進行していきます。
・膀胱脱の進行リスク
膀胱脱が進行すると一番出る症状は、排尿に関係したものです。
頻尿、尿漏れ、膀胱炎、腎盂腎炎、出血など
始めは頻尿、尿漏れの症状が強くなり、脱の進行がPOP-Q分類のステージ3や4になると、おしっこがちょろちょろしか出ない、残尿感がある、という症状となります。
尿の出が悪かったり残尿が多いと起こってくるのが膀胱炎ですので、膀胱炎を繰り返したり、膀胱炎が悪化して腎盂腎炎(腎臓まで炎症が及んでしまった状態)になり、腎盂腎炎を繰り返すと腎臓の働きも悪くなってしまいます。
また、膀胱脱がステージ4まで進行すると、体を起こしている時には常に太ももと太ももの間に膀胱を挟んだ状態になるため、歩行しづらい、こすれることで出血をする、などが起きます。
このような状態になるとひとによっては、外出すら億劫になってしまうかもしれません。
・どの段階で婦人科に相談すべきか?
膀胱脱の症状として最も多い症状はやはり排尿に関する症状です。
・尿漏れ
・頻尿
・出したいときに尿が出にくい…
などの症状が少しでもある時には、
・明らかに下がった感じがする
・膣の入り口に何かが触れる、
のようなことがなくても
たとえどんなご年齢の方でも
婦人科に早くご相談いただきたい
と思います。
膀胱脱の治療
膀胱脱になってしまったときにできる治療法についてお伝えします。
1.漢方薬

補中益気湯という漢方薬が骨盤臓器下垂に効果があるといわれていますので、処方する場合があります。
2.骨盤底筋体操(ケーゲル体操)

POP-Q分類でstage1ないしはstage1未満の方にとっては、膀胱脱を予防する、膀胱脱を進行させない、というのはとても大事なことです。
そこでご自宅ですき間時間にできるのが骨盤底筋体操(ケーゲル体操)です。
1948年にアメリカの産婦人科医アーノルド・ケーゲルが開発した体操でケーゲル体操という骨盤底筋を強化するトレーニング方法です。
さまざまな姿勢で行うことができるのですが、テレビを見ながらでもできる方法としては次のようなものがあります。

姿勢を正して椅子に座った後に、ゆったりとした深呼吸に合わせて行います。
・吸う息2~3秒で膣と肛門をゆるませ
・吐く息2~3秒で膣と肛門を締める
・締めたら2~3秒は締めたままキープする
これを繰り返す、というものです。
慣れたらチョット応用!
・慣れたら2~3秒が徐々に10秒に近づくようにやってみてください。
・10回1セットとして、朝晩1セットずつできると良いと思います。
お金もかからず場所も選ばず一人でできる良い方法ですが、骨盤底筋は小さい筋肉のため、きちんと肛門・膣・尿道を締めることができているのかの確認が難しいことと、3日坊主になってしまうことが多い、という欠点はあります。
3.骨盤底筋ヨガ

骨盤底筋は非常に小さい筋肉群なので、そこだけ鍛えるのはなかなか難しいですが、骨盤底筋に連動している大きな筋肉(内閉鎖筋群、内転筋群、殿筋群)を動かすことで骨盤底筋を鍛えていきます。
ヨガやピラティスは骨盤底筋に連動している大きな筋肉を動かすだけでなく、骨盤底筋に力が伝わる正しい姿勢や、骨盤底筋に一番負担がかからずかつ効果的な呼吸法なども同時に行うことができるのでお勧めです。
指導してくれる先生がいないと習うことができない欠点があります。
オススメ書籍
「超かんたんヨガで若返りが止まらない! 老けたくないなら、骨盤底筋を鍛えなさい」
(高尾美穂著、健康美活ブックス)
4.エムセラ

2020年に発売された腹圧性・切迫性・混合性尿失禁の治療器です。
椅子に座るだけで骨盤底筋が鍛えられる、椅子型の器械です。保険適応のある器械ではありませんが、尿もれの椅子型治療器の中で唯一、国内承認機となっています。
HIFEM(高密度焦点式電磁)の働きで、なかなか刺激できない体の深部の骨盤底筋に1回の治療で1万7400回電磁刺激をすることができ、本来の骨盤底筋の位置の感覚や収縮の感覚を呼び起こすことにより、たるんだ骨盤底筋を鍛えて元に戻していく治療になります。
椅子の座面から15㎝ほど刺激が入るために他のインナーマッスルも鍛えられ、腰痛緩和やヒップアップ、妊娠・出産をきっかけに性的な快感が弱くなってしまった方にもおすすめです。
5.ペッサリーや腟内治療
5-1.ペッサリー

※画像はイメージです
材質はポリ塩化ビニル、医療用シリコン、ナイロン樹脂など、製品によって多少の差があります。少し硬めのゴムのような感触と思っていただいたら良いでしょう。
膣壁の組織を傷めない素材で作られ、それを個々の膣の広さや骨盤臓器の下がり具合で製品を選び、膣内に挿入して使用します。
ペッサリーを挿入して子宮や膣壁(を支えることで膀胱や直腸の下がり)を押し上げます。
形は円状が多いですが、M型やブロック型などもあります。
自分に合うペッサリーが見つかると、膣内に挿入した違和感もなく過ごすことができ、下がる症状が改善され、病院への通院も数か月に1回で済み、大変喜ばれます。
5-2.モナリザタッチ

膣・外陰部への炭酸ガスレーザー照射治療機器です。顔のしみ・くすみ・たるみなどを治療するレーザー照射治療機器を、デリケートゾーンに応用した器械です。
閉経という女性ホルモンの分泌がとても減ってしまったときに生じる、デリケートゾーンのかゆみ、乾燥感、灼熱感、痛み、ゆるみ、たるみ、におい、かゆみ、尿漏れ、頻尿、膀胱炎を繰り返す、などの症状に炭酸ガスレーザー照射を行うことで、膣や外陰部の粘膜や皮膚のコラーゲンを若い時のように再生し、ゆるみたるみやその他の症状を改善していくことで骨盤臓器脱の治療もできます。
治療後の満足度は80~90%と非常に高いです。
手術のような侵襲性が無くダウンタイムも無いため、外来受診の感覚で気軽にお試しいただくことが可能です。
5-3.膀胱脱の手術が必要なケース
骨盤底筋が伸びきってしまい、POP-Q分類の3以上になってしまったときには、骨盤底筋体操、骨盤底筋ヨガ、エムセラ、モナリザタッチなどでは治すことはできません。
ペッサリーを使用した時に症状の改善が見られれば良いですが、ペッサリーがすぐに抜けてしまうような状況になるようであれば、手術での治療が必要になってきます。
更年期・高齢女性こそ早めの受診を

こんな症状がある人は受診を!
本当は産後すぐから始めてほしい膀胱脱の予防。
産後1年でその後はおおよそ決まってしまうともいわれています。
20代30代の若いうちは筋力で何とかなっているものの、筋力が落ちてくる40代からは膀胱脱を含めた骨盤臓器脱の症状は目に見えるように明らかになってきます。
不意のくしゃみや咳をすればちょっと尿漏れするのは産後の人なら当たり前、40歳過ぎればみんな尿漏れするしトイレも近くなると聞いている。
体を洗っている時に股のあたりに何かが触るような違和感があっても、「年齢のせいだから仕方ない」「出産したから当然」と考えてしまう方は少なくありません。
本来は異常な症状であるにもかかわらず、命に関わらないからと放置してしまうことが多いのです。
自分の体を守ることができるのは自分しかいません。
自分の人生を作るのも自分次第です。
ほんのちょっとした症状を放っておいたばかりに、20年後の更年期になったときに、ひとに会うことさえ自分から避けてしまうような状態、外出さえままならないなどという生活の質が落ちることのないように、どうか早くご相談いただきたいと思います。
子どもの頃におねしょの話が口に出しにくいように、尿漏れや頻尿などのデリケートな話は大人になっても口に出しにくいものです。
でも思い切って相談してみることで、案外あっさりとその悩みが解決してしまうことがあります。
産婦人科医にどうぞお気軽にご相談ください。
・婦人科で行う検査の内容
膀胱脱をご心配で産婦人科を受診された場合、まずはお困りの症状を聞かせていただき、内診台で現在の状態を診察いたします。
他の病気でないことを確認するために尿検査を行う場合もあります。
当院での診察・治療の流れ

・診察内容と流れ
当院の診察予約はご自宅からお手持ちのスマートフォンやパソコンでいつでも行うことができます。
また、急なご心配は、ご予約なしでも思い立ったその日に来ていただければ、少しお待たせしますが診察いたします。
ベテラン女医による診察
常時診察する医師は2人おりますが、いずれも女医で産婦人科医歴25年以上の医師ですので安心して何でもご相談ください。
診察の流れ
1.個室でプライバシーに配慮しながらお困りの症状を丁寧にお聞きした後、内診台で実際の状態を診察いたします。
2.膣に器械を入れさせていただき、膣壁のたるみや膣壁の粘膜面の状態、通常の骨盤臓器下垂や脱の状態のチェックと腹圧をかけた状態でのチェックを行います。
3.下垂や脱の症状のほかに頻尿や残尿感などのお悩みがあれば検尿、おりもののお悩みがあれば菌の培養検査なども同時に行います。
痛みのない検査です!
いずれも痛みのない診察や検査ですので、安心してくださいね。
診察が終わりましたら、診察当日の診察結果を、検査をした場合には後日その結果も併せてお伝えして、今後の治療方針を決めて行きます。
・たかき医院の治療内容

・POP-Q分類でstage1にあたる方
症状を悪化させないためのなど生活上の注意(体重管理や腹圧をかけすぎない方法など)をご説明し、ご自宅で出来る簡単な骨盤底筋体操や骨盤底筋ヨガの指導を行います。
また、骨盤底筋を鍛える器械であるエムセラや膣内治療のモナリザタッチのご提案も致します。
・POP-Q分類でstage2に当たる方
stage1の方へのご提案のほかに膣内治療のペッサリーのご提案も致します。
・POP-Q分類でstage3以上の方
stage1および2の方へのご提案のほかに手術療法で下垂や脱につながる膣壁や会陰のたるみを縫縮する手術(膣壁形成術、会陰形成術)などをご提案します。
膀胱脱の予防法と再発防止のためにできること

・骨盤底筋の鍛え方と日常で意識すること
骨盤底筋を鍛えるために一番大切なのは姿勢と腹式呼吸です。
簡単に良い姿勢を作るコツは正座をしてかかととお尻の間にバスタオルを4回たたんだ程度の厚みのもの(クッションなどでも可能です)を挟んで座った時の姿勢です。その姿勢で可能であれば肛門や膣を締めたままのイメージで腹式呼吸を行います。
正座がつらい方は仰向けになって両膝を立てた状態で、腰のくぼみを床にペッタリつけて隙間の無い状態にし、肛門や膣を締めたままのイメージで腹式呼吸を行います。
ほか、骨盤底筋を日常的に鍛えるコツは、椅子に座った時にはきちんと両ももをつけて座ることがあります。
わざわざ時間を取りたくない方はタイトスカートを穿いて1日過ごしたり、着物を着て一日過ごすなども骨盤底筋を鍛えることができます。
・肥満、便秘、重い荷物の影響
骨盤底筋に重みをかけ続けることが骨盤底筋を痛めて骨盤臓器下垂や脱が起こる原因になりますので、それらを避けることも重要です。
太りすぎないこと、便秘にならないこと、赤ちゃんの抱っこや重い荷物を持ち上げる時には息を止めずに息を吐きながら行うこと、などに気をつけてください。
子宮筋腫や内膜症など、婦人科のご病気で子宮全摘出術を行われた方で20~30年経って骨盤臓器脱を発症される方は少なくありません。
手術が終わりましたら、半年くらいしましたところでしっかり骨盤底筋を鍛える習慣をつけていただきたいと思います。
・日常生活で避けるべき習慣
最近は花粉症の方を多く見かけます。
案外、頻回なくしゃみは頻回に腹圧をかけて骨盤底筋に負担をかけていることがあります。
あっ!と思われた方は早めに鼻炎の治療も行ってくださいね。
・再発を防ぐために気をつけたいこと
パリは1日にしてならず、とはよく言いましたもので、体のメンテナンスは日々の意識とそれに伴う行動が大事と思います。
良くなったと思ってもそこで終わりにせず、定期的に診察を受けて医師にご相談いただくのが良いかと思います。
よくある質問(FAQ形式)

Q:膀胱脱は再発しますか?
再発します。たとえ手術をしても、その後の日常生活に注意をしないと、再発してしまうことがありますが、その際には再度手術をする、ということが難しい場合もあります。
再発させない!そのためにどうするのか、という日々の意識とそれに伴う行動が大事です。また、良くなったと思ってもそこで終わりにせず、定期的に診察を受けて医師にご相談いただくのが良いかと思います。
Q:自然に治ることはありますか?
偶然に、ヨガを習い始めた、パーソナルジムに通い始めた、などで意識のないところで骨盤底筋を鍛える機会があれば自然に治ることもあるかもしれませんが、通常は何もしなければ自然に治ることはありません。
特にPOP-Q分類でいうstage3や4の方は骨盤底筋を鍛えるだけではどうにもならないことが多いです。
Q:どの病院・科に行けばよいですか?
ぜひ産婦人科にご相談ください!
当院でも常時相談・治療を承っております!
Q:手術は痛い?費用は?
膣壁形成術や会陰形成術といった手術は、保険診療になります。
麻酔も脊椎麻酔という局所麻酔をしながらの手術ですので、痛みは感じません。およそ5日間程度の入院で費用も10万円かかりません。
まとめ|違和感を感じたら、早めに婦人科

骨盤臓器下垂や脱は「何かが下がる感じ」という自覚を感じやすいですが、案外よほどひどくならない限り(POP-Q分類でstage2以上の状態)、気が付かない、いえ、気にしない、という女性が多いように感じます。
というのも、住民健診で地域の子宮頸がん検診をさせていただくと、60代よりご高齢の方の半数以上は膀胱脱はPOP-Q分類のstage2だからです。
特に60~70代の方でちょっと小太りな方は全員そうだといっても過言ではありません。
今は特に何も問題ないから、多少尿漏れがあるくらいだけどみんな同じ年代の人はそうでしょ、これがあったところで命にはかかわらないし、くらいに思っておられるのかもしれませんが、膀胱下垂や膀胱脱を含めた骨盤臓器下垂及び脱は、放っておいても治らず、年々状態は悪くなってきます。
状態が極度に悪くなった時には、外出さえままならない状況に陥ります。
自分の60代を見据えて、痛くもかゆくもない若いうちから骨盤臓器下垂や脱にならぬように骨盤底筋を鍛える意識と行動を持つこと、そして違和感を感じたら早めに産婦人科の扉を叩いていただき、骨盤臓器下垂や脱が無いことが、女性が人生を終えるその時までの毎日を謳歌できるための大事な要素と捉えてもらえると、ありがたいなぁと思っております。
当院ではモナリザタッチやエムセラなど最新機器による治療も行っています。尿漏れや違和感がある方は、ぜひ症状の無いうちからでも、お気軽にご相談ください!!
新潟県のたかき医院について

女性の身体と心の健康は、日々の生活を豊かにする上で非常に重要です。
たかき医院では、一人ひとりの患者様が安心して、そして前向きに健康と向き合えるよう、きめ細やかなサポートを心がけています。十日町市にお住まいの方だけでなく、アクセスしやすい津南町、南魚沼市、湯沢町からはもちろん、県内、県外からのご来院も心よりお待ちしております。
どんな些細なことでも構いません。ご自身の身体に気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。専門の女性医師とスタッフが、親身になってお話を伺い、最適な治療プランをご提案いたします。
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皆様の健康と笑顔のために、たかき医院が全力でサポートさせていただきます。