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院長ブログ

産後一年以上続く尿漏れ(尿失禁)の原因と適切な治療や予防について産婦人科女医が丁寧に解説!

「女性が妊娠し出産をするというのは大変な大仕事です!」

妊娠や出産をきっかけに体の色々な部分が変わってしまった、と感じる方は多いです。

例えば、一番多いのは体型。
増えた体重が戻らない、骨盤が広がってお尻が大きくなった、など。体重が増えすぎたために「別人28号」になって、産後に夫婦の仲に亀裂が入ってしまった、という人も過去にいました。

今回、妊娠出産がきっかけで起きてしまうことで、後々大変なことが起きてしまうかもしれないこととして「尿漏れ」をお話します。

日本製紙が2012年に日本全国の20~49歳の出産経験者にインターネットで行った調査 によると、出産をきっかけに尿漏れになった人は84.0%、とのことでした。多少の尿漏れは生理用品を使ってごまかしているという人も結構いるとお聞きします。みんなが経験することだし、しかも手持ちの何かで対処できるならそれでいいじゃないか!と思ったかもしれません。

でも実はこの「産後の尿漏れ」は、放っておくと最悪の場合、早い年齢で認知症や寝たきりになってしまうリスクを高めます。

「尿漏れで認知症ってどうして?」と思った方!

なぜ妊娠中に尿漏れが起こるの?
妊娠中から気をつけておくことはあるの?
産後に尿漏れが続いたら、いつ相談に行ったらよいの?

などを今回は詳しくお話していきますので最後までお読みくださいね。

尿漏れとは?

1.尿漏れ(尿失禁)とは?

「尿漏れ」とは、「自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうこと」。

おしっこを出したいと思ってトイレに行き、おしっこを出してOKという状況が整ったら尿を出す、これが尿を出すための一連の流れだと思うのですが、この流れのどこかに不具合が生じ、まだOKではないのに尿が出てしまうことが「尿漏れ」です。

2.妊娠前から産後の尿漏れの原因は?

女性は妊娠中から産後にかけて「尿漏れ」を経験することが多いですが、それぞれの時期の原因は?というと、、、

妊娠前の尿漏れ

全身の筋力が弱い、運動習慣がない(1回30分の有酸素運動を週に2回することを1年以上続けている)こと。尿道を閉める骨盤底筋の筋力も弱いことが多く、妊娠後の尿漏れ予備軍です。

妊娠中の尿漏れ

大きくなった子宮で膀胱を常に上から押さえつけていることと、産道を広くして出産に備えるために関節や靭帯が緩むリラキシンというホルモンが妊娠中に分泌され、尿道を閉めるための骨盤底筋が緩んでしまっているためです。

産後の尿漏れ

妊娠・出産を通じて、骨盤底筋自体がいたみ十分に尿道を閉めることができなくなっている上に、産後3ヶ月まではリラキシンの分泌が続くため骨盤底筋が緩んでいるためです。

2013年にされたある調査 によると、実際に分娩後3~5日間に尿漏れの経験をした人は30.8%、そのうちの44.7%は産後3ヵ月においても尿漏れを感じていました。骨盤底筋だけでなく、出産の時にかかった産道の神経への負担も尿漏れの原因となるのですが、産後から3日くらいの時期に、出たいと思ってからトイレまでに我慢が全くできない、もしくは全く尿意や便意を感じることができずに、尿漏れや便漏れを経験してショックを受ける人がいます。

たいていは何もしなくても産後1カ月以内には自然と治るのですが、若いお母さんたちが尿漏れや便漏れを経験することは、精神的に大きなショックになります。

3.どんな症状?

くしゃみや咳でお腹に力を不意にかけると尿が漏れる、尿意を感じてからトイレまで我慢できない、などが多いです。中には、お子さんの学校の行事に一緒に参加した時に、なわとびをしたところ、7回飛んだらすべて尿が出きってしまう、という重症な方もいます。

2024年にユニ・チャームが女性20~79歳に行った調査では、月に1回以上尿漏れ専用ケア品を使用している人は46%とのことです。妊娠出産をきっかけに尿漏れを経験し、それは産後3カ月以内には自然となくなってくることが多いですが、中にはそのままずっと「尿漏れ」を持ち続けてしまうことがあるのです。

4.尿漏れ症状診断!セルフチェック

尿漏れの有無を確認してみよう。

「もしもアナタが一滴でも漏れるようなら尿失禁の可能性があります!」
以下のフローチャートで確認してみよう。

尿漏れ(尿失禁)「4つの種類」


「尿漏れ」も症状によって種類が分けられます。

1.腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)

お腹に力がかかると起こる尿漏れ。

尿漏れ全体の63%、女性の4割で2000万人以上の人が悩んでいるといわれています。くしゃみや咳、ジャンプをするような運動中、重いものを持った時、大笑いした時などに起こります。

女性は男性に比べて尿道が短く、前立腺のような尿道を閉める臓器が存在しない、という構造的な問題がもともとある上に、年を重ねることで骨盤底筋の筋力がゆるんでしまうこと、おしっこの通り道である尿道の状態が悪いこと、が原因で生じます。

骨盤底筋をいため緩める原因となるのが、

・陣痛、お産の時のいきみ
・ウェイトリフティング、ジャンプ、ランニング、早歩き
・便秘でいきむ
・重い荷物を持つ、階段をのぼる
・大きな声で話す、叫ぶ、笑う
・くしゃみや咳が常時出る(アレルギー、花粉症、喘息など)
・頻回な嘔吐(過食嘔吐など)
・肥満(内臓に脂肪がついて重くなってしまう)
・骨盤底の手術をした人(子宮摘出の手術をした人など)

などです。

産後の尿漏れは主にこの腹圧性尿失禁ですが、2013年に行われたとある研究によると、出産中に陣痛誘発や促進剤、吸引・鉗子分娩、会陰切開などのなんらかの医療的介入があった人ほど、より尿漏れを感じていたとのこと。

この研究報告をみて感じたことは、現在日本では無痛分娩を選ぶ妊婦さんは増えており 、2023年では全体の分娩の11.6%、東京では4人に1人の25%になっています。

硬膜外麻酔を利用し行う無痛分娩は、必ず医療的介入があります。つまり、今後は産後の尿漏れを経験する人が今より増える可能性がある、と考えられ、今後の産婦人科医の課題となりそうです。

2.切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん)

「トイレ行きたい!」と尿意をもよおしたときに、我慢できずに起こってしまう尿漏れで、尿漏れ全体の13%です。最近よく耳にするようになった「過活動膀胱」の症状の一つでもあります。

膀胱の周りには神経があり、膀胱が膨らむとその神経が尿意を生じ、脳へ伝えるのです。そこで尿を出すのか尿を出さないように我慢するかを命令するのは、脳です。

切迫性尿失禁は、この脳と膀胱の連携がうまくいかなくなることで起こります。

水が流れる音を聴くと尿意をもよおして漏らしてしまう、冷たい水にさわると尿意をもよおして漏らしてしまう、外出先から帰ってきてドアノブに手をかけた途端に尿意をもよおして漏らしてしまう、などがよく聞かれます。

不意に尿漏れが起きてしまうため、外出中などに起きると困るという理由で出控えが起こり、社会活動が低下してしまうことにもつながりかねません。社会活動が低下し、人とのつながりが希薄になると、うつや認知症が発症したり、状態が進んでしまうということにつながります。

3.溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)

膀胱の周りの神経がいたんでしまうことで、膀胱が尿意を感じるほどおしっこをためているのに気づかず、まるで水を注いだコップから水があふれるように、ちょろちょろと尿意が無いまま尿が漏れてしまうもの。子宮や直腸など、膀胱の近くにある臓器の手術が原因で、膀胱周囲の神経がいたんでしまうことで生じます。

膀胱周囲の神経がいたむと、膀胱が尿をためて膨らんでいることが分からないので尿意を感じず、尿道を開いたり閉めたりすることもできずにずっと尿道を閉めてしまう(尿閉という状態です)ことになります。膀胱は尿がある程度たまると縮んで尿を出そうとしたいのに、尿道が閉まっているのでちょろちょろとしか出ない、ことになります。

そして膀胱にも出し切れない尿(残尿)が常にある状態になります。膀胱が常に尿をためている状態は尿路感染症を生じやすく、発熱や血尿などの症状を繰り返すことにつながります。また、常に尿漏れがあるため、外出などをためらうようになり、やはり社会活動が低下することにつながります。

4.機能性尿失禁(きのうせいにょうしっきん)

足腰が弱っているなどの体の動きや認知機能の低下などのために、尿意を感じてからトイレまでの移動に時間がかかり、間に合わず尿漏れしてしまうもの。寝たきりの方や認知機能の低下のある方がおうちにいらっしゃる場合には、ぜひその方のふだんの生活場所とトイレの位置の関係を見直してあげてください。

混合性尿失禁について

ちなみに女性の場合、①腹圧性尿失禁と②切迫性尿失禁の両方があり悩んでいる「混合性尿失禁」の人が尿失禁の全体の24%であり、決して少なくありません。

産後の尿漏れはいつまで続く?時間と回復の目安

産後の尿漏れは通常どれくらいで改善する?

妊娠中にリラキシンという緩めるホルモンが出ることが尿漏れを生じるきっかけとなるのなら、そのホルモンの呪縛から解き放たれる産後3ヶ月にもなると、自然に尿漏れが治るはずです。

骨盤底筋ヨガの講師で同じ産婦人科医である高尾美穂先生が、「産後の尿漏れは1年以内に何とかすること!!」と強くおっしゃっていました。つまり、産後1年以内に治らない時には尿漏れが慢性化してしまう可能性があります。

女性は出産から1年間はほとんど記憶がないくらい子育てに追われ、自分の時間を持ちにくい時期ではありますが、その中で毎日10分でも自分が妊娠・出産でいためてしまった体をリカバリーする時間を持つべきだと思います。1日10分自分の時間を持てるか持てないかは、産後うつの発症に大きく関わってくる、と私は感じています。

1年経っても治らない場合に考えられる原因

産後の尿漏れは、1年経ったら何かしなければ治りません。

妊娠・出産で内臓を支える骨盤底筋が思っていたよりもいたんでいて、症状が続いている可能性があります。いつかは治ると思っているうちに、どんどん症状がひどくなって頻尿、膀胱炎を繰り返す、骨盤臓器脱などに発展していってしまうことがあります。

産後数年経過しても残尿感や排尿痛がある場合

産後数年が経ち、尿漏れだけでなく残尿感や排尿痛が症状として出てくる場合があります。

妊娠出産の影響に加え年齢による筋力の低下で骨盤底筋の緩みが強くなり、骨盤内の臓器(子宮、膀胱、直腸)が下がってきてしまいます。骨盤の中の臓器が下がる骨盤臓器脱になると、頻尿や残尿などが生じるようになります。

常に残尿があると尿路感染症を起こしやすくなるために膀胱炎を繰り返し、さらに残尿感や排尿痛が頻繁にみられるようになります。一度臓器が下がってしまうと自然に治ることはないので、臓器が下がる前に対処してほしいですね。

尿漏れに悩むママへ!産婦人科受診のタイミングについて

1.症状が治らない場合の受診の目安

妊娠中から始まり、産後も尿漏れを感じている子育て奮闘中のママ。忙しい毎日とは思いますが、産後3ヶ月になっても症状が続くようなら、是非ご相談ください。

2.何科を受診すべき?

泌尿器科でも良いですが、産後であればまずは産婦人科や婦人科にご相談いただくのが相談しやすいと思いますよ。

3.尿漏れの診断と検査

問診が一番重要です。

いつからどういう時にどのくらい漏れてしまう、のか。
その他、検尿で尿路感染症、超音波検査で残尿のチェック、内診台で骨盤臓器脱の状態などを行いますが、簡単にできて痛みを伴わない検査や診察なので、ご心配いりません。

もっと突っ込んだ検査は泌尿器科で行いますが、パッドテスト、チェーン膀胱検査、尿流動検査、膀胱鏡検査、などがあります。

尿漏れの治療について

産後に関わらず、尿漏れの治療には次のものがあります。

1.骨盤底筋トレーニング

自分で出来て一番お金もかからない方法です。弱った骨盤底筋を少しずつリカバリーさせていきます。

・ケーゲル体操

米国の産婦人科医が考え出した体操。
肛門・膣・尿道をグッと引き締めて10秒キープしたら10秒緩める、を1日20回繰り返す。いつでもどこでもやれる良い方法ですが、きちんと肛門・膣・尿道を締めることができているのかの確認が難しいことと、3日坊主になってしまうことが多い、という欠点があります。

・骨盤底筋ヨガ

骨盤底筋は非常に小さい筋肉群なので、そこだけ鍛えるのはなかなか難しいですが、骨盤底筋に連動している大きな筋肉を動かすことで骨盤底筋を鍛えていきます。指導してくれる先生がいないと習うことができない欠点があります。

・フェムテック製品

尿漏れを改善するための様々な市販の製品があります。
膣内に器械を挿入し、そこへおもりをぶら下げておもりを落とさないようにしっかり引き締め運動をする、というものが多いようです。(fermataさんのHPで国内外のフェムテック製品を購入することができます。興味のある方は覗いてみてください。)

2.薬物療法

「過活動膀胱」の治療薬をすすめることが多いです。

・抗コリン薬(薬剤名:ベシケア、トビエース、ウリトスなど)

膀胱の筋肉を緩めて尿をしっかり貯められるようにする、膀胱が勝手に収縮してしまうのを抑える、作用があります。まれに口が乾く、便秘になるなどの副作用がみられます。

・β3受容体作動薬(薬剤名:ベタニス、ベオーバなど)

膀胱の筋肉を緩めて尿をしっかり貯められるようにする作用があります。抗コリン薬に比べて口が乾く、便秘になるなどの副作用がみられにくいといわれています。

3.漢方薬(八味地黄丸、牛車腎気丸など)

下半身の冷えから頻尿や尿漏れが起きることも多く、漢方薬で冷えを取ると症状が和らぐ方も少なくありません。

4.神経ブロック

運動療法や薬物療法などがなかなか効いてこない尿漏れに対して行うことがあります。膀胱に尿が貯められるようになったり、膀胱が勝手に収縮してしまうのを抑えたりすることが可能です。

5.手術

腹圧性尿失禁の方で尿道のたるみが原因の場合、運動療法や薬物療法で効果が出にくいときに尿道をテープで支える手術(TVY手術、TOT手術)をおすすめすることがあります。また、骨盤臓器脱が顕著でそのために尿漏れが生じているような場合には、骨盤臓器脱を治す手術を選択することがあります。

6.エムセラ

2020年に発売された腹圧性・切迫性・混合性尿失禁の治療器です。座るだけで骨盤底筋が鍛えられる、椅子型の器械です。保険適応のある機器ではありませんが、尿漏れの椅子型治療器の中で唯一、国内承認機となっています。※当院でも取り扱っています。

HIFEM(高密度焦点式電磁)の働きで、なかなか刺激できない体の深部の骨盤底筋に1回の治療で1万7400回電磁刺激をすることができ、本来の骨盤底筋の位置の感覚や収縮の感覚を呼び起こすことにより、たるんだ骨盤底筋を鍛えて元に戻していく治療になります。

椅子の座面から15㎝ほど刺激が入るために他のインナーマッスルも鍛えられ、腰痛緩和やヒップアップ、妊娠・出産をきっかけに性的な快感が弱くなってしまった方にもおすすめです。

座るだけの尿漏れケア「エムセラ」

7.モナリザタッチ

膣・外陰部への炭酸ガスレーザー照射治療機器です。

レーザー照射を行うことで、膣や外陰部の粘膜や皮膚のコラーゲンが再生したるみを改善して、尿漏れを緩和します。海外のデータではありますが、3回の治療後の尿漏れ改善率は約40%と短期間で効果を感じます。

モナリザタッチで尿道に近い膣からアプローチしながら、骨盤底筋を含むインナーマッスル全体の筋肉をエムセラで鍛えていくことで、より尿漏れ改善につながります。

保険適応では無いため治療額は大きくなりますが、手術のような侵襲性が無くダウンタイムも無いため、外来受診の感覚で気軽にお試しいただくことが可能です。※当院でも取り扱っています。

新潟県初導入「モナリザタッチ」

産後尿漏れを予防する方法

1.妊娠中の対策

・体重管理

まずは太りすぎない。
妊娠で大きくなる子宮の重みだけでも相当負担になります。そこにご自身の重みもプラスしないよう、適正体重増加を心掛けてください。

・便通のコントロール

便秘でいきむのは骨盤底筋をいためます。
トイレに5分以上いることのないようにしましょう。水分をこまめにとる、水溶性の食物繊維の多い食事をとる、適度な運動をする、などで改善しない場合は通院している産婦人科の医師に相談してくださいね。

・内転筋を鍛える

椅子に座っている時にティッシュの箱を両ももで挟むといった時間を1日のうちに10分、試してみてください。

・マタニティヨガ教室に通う

マタニティヨガは安産を目指すだけでなく、骨盤底筋を鍛え尿漏れなどの妊娠中から産後にかけてのトラブルの起こりにくい体と心を作るお手伝いをします。気分転換にもなりますので、妊婦健診の医師から許可を得てマタニティヨガ教室に出かけてみても良いと思います。

2.出産後のセルフケア

・出産翌日から

骨盤底筋が大けがをした後の状態です。
ゆっくりと優しく骨盤底筋のリカバリーをしていきましょう。まずはベッドの上で仰向けでする腹式呼吸がおすすめ。(息を吐くときにお尻の穴を、分かりにくい人は内またを、ぎゅっと締めるのがコツ)。骨盤底筋は体幹を支えるインナーマッスルの一部です。まずはインナーマッスル全体を整えることから始めます。

・産後1カ月したら

からだは育児でカチコチ。
ストレッチを育児の合間に少しでもできると良いですね。また、骨盤底筋リカバリーの次の段階として、仰向けでひざを腰幅に開き両腕を体のわきに置いて、息を吐きつつお尻の穴をすぼめながら少し上に向け、息を吸いながらゆっくりと元に戻すというのを1日に5回ずつ3セットくらいやる方法を、ぜひ試してみてください。産後1カ月健診を終えたら始められる産後ヨガ教室などもありますので、興味のある方は試してみてください。

・産後3ヶ月したら

本格的に骨盤底筋を鍛え直すものがいろいろ始められます。特に3ヶ月経ってまだ尿漏れを日々感じているようなら積極的にトライしてください!

3.生活習慣の改善

・体重を戻す
・便秘をしない
・赤ちゃんのおんぶ抱っこ時の注意

日々重くなっていく赤ちゃんを抱え上げたり置いたりする動作、これは日常生活上のウェイトリフティングです。特に低い場所からの上げ下げは、必ず片足を一歩前に出す、一度に上げ下げせずに椅子などを利用してワンクッション置く、誰かほかの家族に抱っこやおんぶできる高さまで連れてきてもらうなどすると、お腹に力がかかりすぎず骨盤底筋にも負担が少ないです。

・運動習慣をつける

運動習慣のない人は、30代から筋力がどんどん落ちていきます。
全身の筋力が落ちれば、骨盤底筋の筋力も一緒に落ちていきます。筋力低下はいったん治ったと思われた尿漏れが再発するリスクにつながります。できたら妊娠前からの運動習慣をつけたいものですね。

・日々の姿勢

猫背や反り腰の人は骨盤底筋に力が入りにくいので普段の姿勢に気をつけましょう。

着物の生活から離れてしまったために尿漏れが増えたという説があります。お産が終わったらなるべく椅子でも正座でも座り姿勢の時には両ももを閉じること、立ち上がる時や床にものを落ちたものを拾う時などには着物を着ている時をイメージして美しく立ちふるまうと、自然と骨盤底筋が鍛えられます。

産後に少しでも早く妊娠中に増えた体重や、たるんだ下腹部を元に戻そうとして「いつから腹筋をして良いですか?」と聞かれることが多いですが、、、

産後ケアは順番が大事!最初に「骨盤底筋」

腹筋運動をしたり、きついニッパーをつけたりするのは、きちんと骨盤底筋を戻してからにしないと、余計に骨盤底筋をいためてしまうことにつながります。

体形は3ヶ月で戻っても尿漏れが一生続く、では元も子もないと思います。「先にケアするのは腹筋ではなくて骨盤底筋!」です。まずは日々の姿勢を見直すことから始めましょう。

産後の尿漏れQ&A

Q1:産後尿漏れは自然に治りますか?

産後の尿漏れは産後3ヶ月までに自然に治ることが多いです。それ以上続いてしまう場合は早めに医師にご相談いただいた方が早く解決します。

Q2:産後尿漏れの治療はどれくらい続きますか?

早めに治療を始めれば産後1年以内には終わりにできます。

Q3:妊娠中から続く尿漏れはどう対処すれば良いですか?

産後、生活習慣の見直しを行いながら、すぐに骨盤底筋のケアを始めましょう。それでも産後3ヶ月になって尿漏れが治らない場合には、医師に相談しましょう。

Q4:尿漏れに有効な市販薬はありますか?

市販薬のほとんどは漢方(主に八味地黄丸)がベースになっています。

最近、抗コリン薬のバップフォーレディーという市販薬が発売されました。膀胱に尿が貯められるように緩め、勝手に収縮しないようにする作用があります。

お薬を選ぶ際には、健康状態によっては使えない薬もありますので、薬局の薬剤師さんに必ず相談してから購入してくださいね。

Q5:産後に膀胱炎になりやすいのはなぜですか?

産後に膀胱炎になりやすいのは、一つに妊娠・出産で膀胱周囲の神経がいたむことによって膀胱がしっかり広がったり収縮したりすることができずに残尿が多くなってしまうため、細菌感染が起こりやすい状態になり膀胱炎になりやすいです。

さらに、産後すぐは赤ちゃんのお世話に一生懸命で自分のことが二の次になり、水分摂取が十分でない上にトイレを我慢したり、汚れたナプキンを長時間つけっぱなしにしてしまったりすることで、さらに膀胱炎になりやすい状況となります。自分のことも大事にね♪

まとめ

「尿漏れ」は話題にしにくい悩みですよね。

そのためなかなか自分以外の人が悩んでいるかが分かりにくいですし、多少の尿漏れは普通にあるんでしょ、くらいに思って気にしていない(気にしていられない?)人も多いのではないでしょうか。

でも、、、

「本当に一滴も漏れないですか??」

この質問に少しでも「ウッ!」と感じた人はすぐにご相談にいらしてくださいね。一滴でも漏れる人は尿漏れのある人、つまり早めに尿漏れに対して対処すべき人、ですよ!

新潟県のたかき医院について

女性の身体と心の健康は、日々の生活を豊かにする上で非常に重要です。

たかき医院では、一人ひとりの患者様が安心して、そして前向きに健康と向き合えるよう、きめ細やかなサポートを心がけています。十日町市にお住まいの方だけでなく、アクセスしやすい津南町南魚沼市湯沢町からのご来院も心よりお待ちしております。

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仲 栄美子

仲 栄美子(なか・えみこ)
たかき医院 院長/日本産婦人科学会 専門医


女性の健康と心に寄り添うヘルスケアアドバイザーとして、日々診療にあたっています。
医師としての知見に加え、ヨガやメディカルアロマ、精油の知識を活かし、ライフステージごとに変化する女性の体と心をトータルにサポートしています。

取得資格・活動

  • ヨガインストラクター RYT200(サントーシマ香 師事)
  • 産後ヨガインストラクター
  • チェアヨガインストラクター
  • 骨盤底筋ヨガインストラクター(高尾美穂 師事)
  • MAA認定メディカルアロマプラクティショナー
  • MAA認定キャリアオイルマスター
  • MAA認定ホルモンアドバイザー
  • yuica認定 日本産精油インタープリター

著書

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